社会の底辺loserのブログ

趣味や特技、役立つ情報を伝えていきます。

【第三章】崩落 1.75/2

僕とKが話すことは二度となかった。

「信じるよ、私は」

除け者の僕にそう言ってくれたKが気になって仕方なかったのに、3年の時はクラスも違ったこともあって話すことはなかった。
話すチャンスはいくらでもあった。でもそれができないのが僕という人間なのだ。
臆病で弱くて頭が悪い。

結局、友達が一人もいないまま僕は中学3年生になった。
委員長とはクラスが同じだったが、席が離れたこともあり、あの一件以来ほとんど会話がなかった。相変わらず、僕のことを嫌っている感を出していたが、以前にも増してどうでもよくなっていた。
3年生になって、僕は人生初の受験に燃えていた。

友達はいないけど勉強と運動はできる。

自分のアイデンティティも周囲の認識もそうだった僕にとって、万が一にも落ちるわけにはいかない。県内トップの高校に余裕で合格しなくてはならないのだ。
自分はそういう人間で、そういうキャラだと僕は信じて疑っていなかった。

あの時までは。忘れもしない中学3年夏休み明けのサマーテスト。
部活もなくなった中学最後の夏休み。勉強ができる生徒もそうでない生徒も塾の夏期講習に行っていたが、経済的な理由もあって僕は行かなかった。
行きたいとも思わなかった。
塾までの移動時間がもったいないし何よりクラスメイトに会いたくない。
僕は1日12時間を自分の中で最低勉強時間と決めてひたすら家に引きこもって勉強した。クラスとか学年ではなく、県内で一番になる、そういう気概で取り組んでいた。

その結果が、、、

サマーテスト順位 クラス6位 学年33位

ここに来て自己最低の結果。受験まであと半年。
血の気が引いた。もはや悔しいとか悲しいとかではなく、何がなんだかわからなくなった。自分が自分でなくなる。テストが終わった直後も血の気は引きかけていたが、周囲のクラスメイトも難しすぎ、やばい、終わった、といった反応だったので今回は特別難しかったのだと言い聞かせることで保っていた。なんだかんだで学年順位20位くらいだろうと思っていた。
三つ子の魂百まで。僕の認識の甘さ、逃避癖は筋金入りだ。
原因はわかっている。
今まで定期テストで結果を出すことだけの勉強をしてきたつけが回ってきたのだ。
それは理解ではなく暗記だけの勉強。受験用の勉強ではなかったのだ。
このテストは言わば入試の模擬テストのようなものだった。それがもろに出た。
その証拠に壊滅的にできていなかったのが英語と数学。特に英語。
定期テストは教科書の英文を丸暗記することで点が取れていただけで、文法を理解していなかったのだ。
いや、そんなことあるか?と思うかもしれないが、僕に限ってはそれができるのだ。
得意の社会と理科も1、2年で勉強した知識が曖昧で思わしい結果ではなかった。

粉骨砕身 

クラス目標だ。僕はこの言葉を気に入っていた。黒板の上にデカデカと貼られているその目標をみて自分の努力が足りなかったことを悔いた。

死ぬ気でやれよ社会の底辺、どうせ死なないから。いや、負けるくらいなら潔く死ね。

自分にそう誓って、僕はその日から本当の意味で本気になった。
まず受験と関係ない知識を取り込むのをやめた。
具体的には受験に使わない科目の授業は聞かずに自主勉。クラスのイベント中は頭の中で自主勉。テレビを見ないのはもちろんのこと、母との会話も勉強の話のみ。
睡眠6時間とメシ以外は常に勉強している状態にしようと思った。
だけどそれは許されなかった。
僕が通う中学校はかなり変わっていて、何かとつけて合唱をさせられた。
一体何かの宗教なのかとばかりに歌の練習の時間があった。
当時の僕はそれがすごく嫌だった。
中学3年の後期になってもそんなことをする意味がわからなかった。
なぜこの時間に勉強しようとしないのか?歌詞を覚えてる場合ではないだろ。
と本気で思っていた。
だから僕は楽譜に「1615年、武家諸法度」「ジャガイモにオキシドールを加えると酸素発生」とか歴史や理科の知識を余白いっぱいに書いて口パクで歌うフリをして読んでいた。僕は人よりも何十倍、何百倍も反復しなければ覚えられない脳なのだ。

とにかく自分なりに全力は尽くしたと思う。例えそれが間違いだったとしても。
これだけやった甲斐あって自分の中で自信がついてきた。
これだけやれば大丈夫だという愚かな自信。なんの根拠もない自信。
努力をすれば結果が出るという盲信。
サマーテストから数カ月後に行われた実力テストで自分という人間を知る。

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実力順位 クラス5位 学年28位(多分)

クラス順位が5位だったことは覚えているが、学年順位は記憶が曖昧だが、いずれにしろ大して良くなっていなかった。
その日の夜、青ざめている僕を母が見てこんなことを言われたのを覚えている。

「肩に力が入り過ぎて実力が出せていないんじゃない?最近のloser怖いよ」

そうだったらどれだけいいだろうか。どれだけ幸せだろうか。
今にして思うが、私は境界知能なのだと思う。
今でこそ私をADHDASDなどと指摘してくださる方がいるが、当時はそういった言葉が浸透していなかった。
でも、自分が周りと違うことは薄々気づいていて、この時、確信へと変わっていった。
コミュニケーションが困難なのはもちろんのこと、もの覚えが著しく悪い。
みんなが当たり前にできることが自分にはとても難しかったりする。
それを認めて、身の丈にあった高校を受験して諦めることができたのなら、、、

 

幸せになれたかい?

 

次回予告

「どけ」

「社会の底辺、なんなんだよお前は!!!」

「みんな一生懸命頑張ってるのになんとも思わないの?」

クラスという小さな社会、他者との軋轢
自分を知らなければ大人にはなれない


【第三章】崩落2/2 中学生篇完結! 令和7年1月末投稿予定