胸の底で、傷は静かに生きている。
ウェルギリウス『アエネーイス』
昨日、ブログを更新した後、先輩から電話があった。
先輩「夜分にすまんな、今いいか?」
私「大丈夫ですよ」
少し仕事の話をした後、先輩はあの日のことを聞いてきた。
すでにLINEで感謝の意と簡単な報告だけはしていたが、聞いてくるとは思っていた。予想はしていたが、いざ聞かれると嫌なものだ。
先輩「で、あの後、本当に何もなかったの?」
私「LINEでお伝えした通りですよ、何もありませんよ。〇〇さん(同期)から聞いてません?」
先輩「昨日、奢ってくれてありがとうのLINEはあったけど、それ以上は何も」
まあ、あの同期のことだ、何があったかは誰にも話さないだろう。
先輩「悩みとか相談されなかったの?俺には社会の底辺さんに話したかったことが、本当にあれだけだとは思えないんだけど。それとも俺には言えないようなことなのかな(笑)」
先輩はそんなことをニヤニヤしながら言い出した。
私「悩み、、、うーん、あ、20代が税理士試験で終わってしまうとは嘆いていましたよ(笑)私にとっては贅沢な悩みですよ」
先輩「付き合っちゃえばいいじゃん」
私「は?」
あまりにも突拍子もないことを言われたので、先輩相手に「は?」なんて言ってしまった。しかし、私は悪くない。
先輩「いやだから、社会の底辺さんが付き合うとまでは言わないまでも遊び相手になってあげればいいじゃん。そうすれば、〇〇さん(同期)は残りの20代を謳歌できるんじゃないか」
私「......いや、、悪い冗談ですよ、先輩」
先輩「冗談抜きにいいアイディアだと思うけどな。そうすれば、社会の底辺さんもギャンブルの呪縛から解放されると思うけど」
私「......いやいやいや、〇〇さん(同期)はそんなこと望んでいませんよ(笑)」
先輩「どうなんだろうね。でも、社会の底辺さん、気持ちがあるから魅せられるんだよ。社会の底辺さんの望みはどうなんだ?」
私「私の望み、、、」
先輩「俺はてっきり社会の底辺さんは〇〇さん(同期)に恋してるんだと思っていたけど」
私「何言ってるんですか(笑)私は〇〇さん(同期)に恋なんてしてないですよ」
少し間があった後、先輩は楽しそうに笑った。
先輩「ははっ、そうかい」
私「そうですよ」
私が好きな人はこの世にたった一人しかいないのだ。私が愛したのは後にも先にもくりぃむ、、もとい星川サラしかいないのだ。
そういうことにしておこう。それが一番幸せだ。
私「それに〇〇さん(同期)は、私に好意なんて抱いてないですし」
先輩「案外、抱いているのかもしれないよ。好きって言わなきゃ好きにならないわけでもないように、誰にもでも軽はずみに言えないことってありますよね、社会の底辺さん」
不安なんてない。
いつも通り「おはようございます」と挨拶してくれる同期にいつも通り挨拶を返せるとそう確信している。だって、私も同期もお互いのことを好きでも何でもないのだから。
これから先、私と同期が職場の同僚以上の関係になることはない。
それでも私はあの日のことをいつまでも未練たらしく後悔して、きっと、生涯忘れることはないんだと思う。
こうして私の人生最大の奇跡体験は幕を閉じた。
本日22時13分退勤。
本日使ったお金は0円
今月使えるお金は昨日と変わらず9,656円